久しぶりに不動産コラムを綴ってみました。
というのも「
地方移住って本当に節約になるの?」というコラムがヤフトピに出ていましたので、沖縄の場合を参考に綴ってみました。まさに住んでみて判ったことが多いですね。
【支出:住居費】・・・割安
沖縄に住む前は都心のど真ん中の家だったので、単純に家賃比較はできないかもしれませんが、それでも移住後は那覇中心街の仕事場にも徒歩で行ける場所に住んでいたこともあったのである程度の比較はできると思いますが、感覚的に家賃は「1/3」になったと思います。もちろん間取りや広さなどもありますが、この「1/3」の家賃の感覚で広さは倍になった印象です。沖縄移住で最も節約になったのはこの「住居費」だとは思います。ただし新都心のような新しくて人気の街になると、移住前と同じレベルの家賃になってしまいますので、あとは立地や築年数次第だと思います。でも相対的に移住前より安くなるのは確実だと思います。
【支出:食費】・・・1.5倍ぐらい割高
これは一見地方に行くと安くなりそうですが、実際は都心より割高に感じています。何より沖縄の場合は複数のスーパーのチラシを見ても横並びで競争が無いから価格が高止まり。特に牛乳とタマゴは何年も全く同じ価格。しかも牛乳は本土より1.5倍ぐらい割高なのに加えて、容量も本土では1Lパックのところが、沖縄は未だに946mlというガロン法を使った少ないものになっていて、その分を加味するとさらに割高。野菜も沖縄で通年とれるものはあまりなく、輸送費をかけて本土や海外から持ってきているものが多いのでかなり割高。果物も一見沖縄は豊富のようですが、沖縄でとれるものはたかがしれているので全体としては割高。魚も沖縄近海でとれる種類が少ないので割高。強いて言えばランチ価格は那覇中心街でも600円前後が相場で、久茂地あたりで売っている弁当になると300円前後が相場と、このランチに関しては本土より安いかな?でも全般的に沖縄での食費はかなり割高に感じています。
<参考価格>
・牛乳パック 946mlで通常280円前後(本土だと200円以下)
・特売タマゴ 10個で128円(本土だと99円とか88円とかも有り)
・リンゴ1個 150円前後(本土だと100円前後)
・レタス/キャベツ 1玉特売で198円(本土だと98〜150円ぐらい)
【支出:水道光熱費】・・・2〜3割高い
電気代は原発停止で急激な値上げになった東京電力に抜かれるまでは全国で一番高かった沖縄。確かに住んでみて電気代の高さは実感します。特に夏場のエアコン使用時期は猛烈に高いと思います。加えて冷蔵庫も気温が常に高いのでかなりの電気代がかかります。反面、冬場は暖房が要らない日が多いので、1年を通すとどうなんでしょうね。まぁ本土では電気以外の暖房もあるので相対的には沖縄の方が電気代はかかりそうです。あとガス代は都市ガスなら沖縄は全国の中でも安い方なんですが、沖縄で都市ガスが通っているのは那覇市街でもごく一部。ほとんどがプロパンなんですが、そのプロパンは都市ガスの逆で全国トップクラスの割高さ。でも沖縄って水道水を一度タンクに貯めてから給水するので、夏場はその貯めているだけで温水のようになるから夏場のシャワーで給湯が不要。といっても1年で2〜3ヶ月の話なので、1年を通すと光熱費はかなり割高に感じます。ちなみに水道代は本土とほとんど変わらなかったかな。
【支出:通信費】・・・ほぼ同価だが速度が遅い
インターネット回線の場合、ほとんど全国一律なので料金的にはそんなに変わりませんが、ただ回線速度が那覇市街でもかなり遅いので、速度と料金を加味すると割高に感じます。また通信業者が少ないので選べないという面でも割高になる面が多いです。電話代については島なので割高になるのは当然ですが、昨今の携帯電話社会になってからはそんなに割高感は無くなったと思います。そもそも無料通話アプリやSkypeなどがあれば電話はあまり要らないですけどね。
【支出:レジャー費】・・・移動が少ないので安いが選択肢が少ない
海や森などの自然を楽しむレジャーは安上がりです。何よりそれらレジャーをする場所までの移動が少ないですし、住んでいると穴場とかコツがわかりますので、ツアーも要らなくなるから安上がり。ただ自然を楽しむレジャーは良いのですが、それ以外の選択肢がとても少ない。都市型のアミューズメントパークはほとんど無いですし、プールもろくな施設がなく、映画館も少ないので選択肢があまり無い。でも無いからお金を使わないという結果にもなっているので、全体として安上がりだとは思います。
【支出:交通費】・・・電車が無いから高い
電車が無いから高い。加えて路線バスはあっても競争が全く無いので運賃が高く、結果的に交通費は高くなります。車移動に関してもガソリン価格の競争が無いので、優遇税制で本土より安いはずなのに、沖縄の方が高い始末。自転車移動も沖縄は車重視の町並みになっているので、自転車移動はとてもしにくいのであまり使えません。加えて本土へ行くために飛行機を使う頻度が高いので、交通費は全体として高く付く傾向。
【支出:被服費】・・・温暖な気候なので安上がり
温暖な気候のおかげで、1年中夏服でも過ごせるので被服代はかなり安く上がります。冬場のコートなどの高い衣類が必要じゃ無いというのもメリット。ユニクロなどの安いショップもありますし、以外とスポーツDEPOで夏物を多く取り扱っているので、被服代はかなり安く抑えられると思います。まぁファッション次第ですが・・・
【支出:日用品費】・・・雑貨は変わらないが家具は割高
沖縄にはダイソーが多いので、いざとなれば百均へ行けば全然気になりません。無印もハンズもfrancfrancもあるので、本土と価格は変わりませんし、雑貨に関しては割高感は感じません。ただインテリアなどの家具になると選択肢が少ないばかりか全体的に高めの傾向。宜野湾の輸入家具なら安いものもありますが、一般的な家具屋で見ると割高に感じます。
【支出:教育費】・・・やや割安かも?
これはよくわかりませんが、私立が少ないので結果的に安いと思います。塾に関しても知り合いの話を聞くと本土よりはるかに安いと聞きます。ただ高校までは沖縄で過ごすものの、大学からは本土へ行く人が多いので、全体としてはお金はかかりますが、それは本土の一地方都市でも同じかと思いますので、最終的にはやや割安かな?
【収入:地方の支社に移動する場合】沖縄に住むならこれが一番良いと思いますが、いかんせんそのことを皆さんご存じなので、なかなかこのポストは手に入りませんね。そもそも本土の支社ということで、まずは本土での勤務が必要になり、そして沖縄への転勤希望が通るという障壁がいくつもありますので、簡単にはいかないと思います。直接沖縄の支社での雇用の可能性もありますが、競争率は高そう。でももしこのポストなら、平均賃金が全国最下位レベルの沖縄にあっては全国レベルの収入を得られるわけで、沖縄での生活は豊かになると思います。でもこの方法で移住できたという話は聞いたことがありません。
【収入:地方で転職する場合】もしかするとこの方が先のベストな仕事先より難しい場合もあります。というのも沖縄は言わずと知れた全国ワーストの失業率で、求人倍率も常に1倍を下回っている状態。加えて雇用制度の中で沖縄出身の人を優先する傾向もあるので、本土からの移住者にはとても厳しい。加えて沖縄の給与水準は全国ワーストレベルなので、本土で働いていた時との収入格差がものすごく、東京での平均所得からすると沖縄の平均は東京の「1/3」のレベル。先の家賃が「1/3」になっても収入も「1/3」になるので、安い家賃だけではうまく行かないことがわかります。しかもあくまで「平均」の所得の話で、ハローワークなどで出ている求人はさらに低い。ハローワーク経由しない方が給与が高いものも見つかりそうですが、ただ沖縄の場合はハローワーク経由で人材確保すると補助が出るらしいので、ハローワーク経由での募集しか受け付けていないところも。そもそも沖縄で条件面でもやりがいでも満足がいく仕事があるか否か・・・沖縄移住の最初の障壁が「仕事」です。まぁ沖縄だけじゃ無い話だと思いますが。
【収入:テレワークができる場合】沖縄移住する場合はこれが一番良いと思います。つまりテレワークというより仕事を持っていくこと。雇用状況がこれだけ厳しいとなると、一番簡単なのが仕事を持っていくことでしょうね。そうすれば沖縄で仕事探しをすることも無いですし、もしかすると事業拡大で沖縄で雇用を生み出す可能性もありますし、そういう人が雇用拡大すると移住者も受け入れやすいと思います。といっても実際に沖縄だけで仕事が完結することはまず無く、クライアントの関係で本土に行くことも多いと思いますが、それを差し引いてもこの方法が最も安定した収入を移住者でも確保できると思います。
そんな感じで沖縄の場合の「地方移住って本当に節約になるの?」を考察してみました。
とかく移住希望が多い沖縄ですが現実はこんな感じです。もちろんこれらはあくまで自分が経験した範囲での話なので、環境によってはこれより良い方向になる場合もありますし、逆にもっと悪い場合もあります。
とにかく言えることは本土の時から収入は激減するので、最初はできるだけ家賃が低めのところを選ぶ。そして仕事はできる限り自分で持っていき、沖縄で仕事探しをしないようにすることかな?
自分が知っている限りでも、沖縄で仕事探しをして見つかっても給料があまりに安いので、その仕事の他にバイトをいくつか掛け持ちするする人が多いです。そういう意味でも自分で仕事を持っていくのが一番なんです。
あくまで「仕事を持っていく」のがベストで、沖縄移住してカフェや宿を新規に開いて生計を立てようとするのは「仕事を持っていく」ではなく「沖縄で事業をする」ということになるので、上手くいかなかったときはどうすることもできなくなり、結果本土に戻ってしまい、建物だけ沖縄に残して貸別荘にするという人がたくさん居るようです(でも実際に貸別荘で収益があがる人はあまり居ない)。
なので仕事は既に本土でやっていたものをそのまま作業する場所を沖縄にするだけが移住するには一番スムーズに生活できると思います。
とりあえず沖縄へ行けば仕事はなんとかなるさという発想は止めましょう。何とかなりません。
支出は多く、収入は少ない。
それが沖縄移住の現実かもしれません。
posted by 離島ドットコム管理人 at 12:05
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不動産:住まい・家・建物